毎日同じ内容をコピーして別のサービスへ貼り付ける、問い合わせが来るたびに通知を送る、週末に数字を集計する。こうした手順が決まっている作業は、Makeで自動化できる可能性があります。

Makeはプログラムを書かずに使える一方、設定次第では複雑な処理も組めるツールです。ただし、最初から大きな業務を丸ごと自動化すると、エラーが起きたときに原因を追いにくくなります。

まずは「1つの入力を受け取って、1つの場所へ記録し、1つの通知を送る」くらいの小さな流れから始めるのがコツです。

※掲載内容は2026年8月8日時点のMake公式料金ページ・ヘルプセンターを基に整理しています。料金、クレジット条件、管理画面、モジュール名、実行間隔などは変更される場合があるため、実際の設定前に最新の公式情報も確認してください。

Makeとは?

Makeは、Gmail、Googleスプレッドシート、Notionなどのアプリをつなぎ、データの受け渡しや処理を自動化するサービスです。

Makeでは、自動化の流れをシナリオと呼びます。シナリオの中に、次のような処理を並べて作ります。

  1. 新しい問い合わせを受け取る
  2. 内容をスプレッドシートへ追加する
  3. 条件に応じて担当を分ける
  4. Gmailで受付メールを送る
  5. 自分へ通知する

各処理は線でつながって表示されるため、コードだけで作る自動化よりも、データがどこからどこへ移動するのかを把握しやすいのが特徴です。

Makeの無料プランでできること

Makeの無料プランには利用期限がなく、月1,000クレジットまで利用できます。2026年8月8日時点の公式料金ページでは、3,000以上のアプリ、ルーターやフィルター、ノーコードのワークフロー作成機能が無料プランに含まれています。

項目無料プランの主な範囲
月間クレジット1,000クレジット
稼働中のシナリオ最大2つ
定期実行の最短間隔15分
1回のシナリオ実行時間最大5分
実行ログの保存7日間
連携アプリ3,000以上

無料プランでも、問い合わせ通知や日次集計のような軽い自動化は試せます。1分単位で動かしたい、複数のシナリオを常時稼働させたい、実行量が多い、といった場合は有料プランを検討します。

クレジットの考え方

Makeでは、シナリオ内のモジュールが処理を行うたびに、基本的にクレジットを消費します。

たとえば、1件の問い合わせに対して次の3処理を実行する場合を考えます。

  • スプレッドシートへ1行追加する
  • Gmailで返信する
  • 自分へ通知する

単純化すると、1件あたり約3クレジットです。月100件なら約300クレジットが目安になります。ただし、MakeのAI機能など一部は処理内容によってクレジット消費が変わるため、実際のCredit usageや実行履歴で確認してください。

仕事で使いやすい自動化例7選

1. 問い合わせを記録して担当者へ通知する

Googleフォームなどから問い合わせが届いたら、内容を台帳へ記録し、Gmailやチャットへ通知します。

Googleフォームは標準機能でも回答をスプレッドシートへ保存できます。Makeを使う意味が出るのは、そこからさらに次の処理を加えたい場合です。

  • 問い合わせ種別によって通知先を変える
  • 緊急度の高い内容だけ件名へ印を付ける
  • 自動返信メールを送る
  • 顧客管理ツールにも登録する

単なる保存ではなく、保存後の作業まで自動化したい場合に向いています。

2. スプレッドシートからNotionへ案件を登録する

受付フォームや営業リストをスプレッドシートで管理し、新しい行が追加されたらNotionの案件データベースへ登録します。

入力窓口はGoogleフォーム、日々の進行管理はNotion、集計はスプレッドシートというように、役割を分けている場合に便利です。

ただし、同じ情報を双方向で同期すると管理が複雑になります。最初は「スプレッドシートからNotionへ送る」など、一方向だけにするとトラブルを減らせます。

3. 入金・申込データから確認メールを送る

決済サービスや申込フォームから新しいデータを受け取ったら、確認メールを送信し、管理表へ記録します。

金額や契約に関わる処理では、いきなり完全自動にせず、次のような段階を踏むほうが安全です。

  1. 最初は自分への通知だけにする
  2. テストデータで条件分岐を確認する
  3. 少数の実データで動作を見る
  4. 問題がなければ顧客向けメールを有効にする

誤送信の影響が大きい処理ほど、人の確認を途中に残します。

4. 毎日の数字を集めてレポートを作る

複数のサービスから売上、問い合わせ数、広告数値などを取得し、1つのスプレッドシートへ集約します。

毎朝決まった時間に実行すれば、各サービスへログインして数字を転記する作業を減らせます。

おすすめは、最初から立派なダッシュボードを作るのではなく、次の3列程度から始める方法です。

  • 日付
  • 指標名
  • 数値

データが安定して集まることを確認してから、グラフや週次比較を追加します。

5. AIで文章の下書きを作り、確認待ちにする

問い合わせ内容、商品情報、記事のメモなどをAIサービスへ送り、返信文や投稿文の下書きを作成します。

ここで大切なのは、生成した文章をそのまま公開するのではなく、確認待ちの場所へ保存することです。

たとえば、次の流れにします。

  1. スプレッドシートへテーマを入力
  2. AIで下書きを生成
  3. Notionの「確認待ち」へ保存
  4. 人が確認して公開

AI APIの利用料金はMakeの料金とは別に発生する場合があります。また、顧客情報や機密情報を外部サービスへ送る前に、利用規約と社内ルールを確認してください。

6. 見積もり依頼を案件台帳へ自動登録する

Webフォームから届いた会社名、予算、希望納期などを案件台帳へ登録し、ステータスを「新規」に設定します。

入力漏れがある場合は登録せず、自分へ確認通知を送る条件分岐も作れます。

この自動化は、問い合わせ件数が少ない段階でも効果があります。件数そのものより、転記ミスや確認漏れを減らしやすい点がメリットです。

7. 記事公開後の告知タスクを作る

ブログやCMSで記事が公開されたら、SNS投稿案を作る、告知用のタスクを登録する、関係者へ通知するといった後工程を自動化します。

SNSへ直接自動投稿する場合は、各サービスのAPI仕様や利用ルールが変わることがあります。最初は投稿文を下書き保存し、人が確認してから投稿する半自動運用が安全です。

Makeの簡単な使い方【2026年8月時点】

ここでは、初めて使う人が「Googleスプレッドシートに新しい行が追加されたら通知する」といった小さなシナリオを作り、テストして有効化するまでの基本的な流れをまとめます。

画面・機能について
以下は2026年8月8日時点のMake公式ヘルプ「Create your first scenario」などを基にした概要です。管理画面、ボタン名、接続方法、利用できるモジュールは変更される場合があります。

1. 無料アカウントを作り、自動化する作業を1つに絞る

Makeへ登録したら、最初から複数の業務をまとめず、入力と出力を1つずつ決めます。

たとえば、次くらいの大きさから始めます。

Googleスプレッドシートに新しい行が追加されたら、自分へ通知する。

「問い合わせ対応を全部自動化する」のような大きな目標より、1回のテストで正誤を判断できる処理の方が原因を追いやすくなります。

2. 「Create a new scenario」からシナリオを作る

MakeのダッシュボードまたはScenariosから新しいシナリオを作成します。シナリオ名も、後で何をする自動化か分かる名前にしておきます。

シナリオは、複数のモジュールを順番につないで作ります。最初のモジュールには、処理開始のきっかけになるトリガーを置きます。

3. 最初のアプリとトリガーを選び、接続を作る

中央の追加ボタンからGoogle Sheets、Gmail、Notionなど使いたいアプリを選びます。

Google Sheetsを例にすると、公式チュートリアルでは「Watch New Rows」のように新しいデータを監視するモジュールを最初に置いています。その後、Googleアカウントなど外部サービスとのConnectionを作成し、Makeへ許可するアクセス範囲を確認します。

接続時は、仕事用・個人用など複数アカウントがある場合に、意図したアカウントを選んでいるか確認してください。

4. 次のモジュールを追加して、渡すデータを設定する

トリガーの後ろに、通知、行追加、メール送信など次の処理を追加します。

前のモジュールから取得した名前、メールアドレス、日時などを、次のモジュールの入力欄へ割り当てます。

最初はルーターや複雑な条件分岐を増やさず、入力1つ → 出力1つで正常にデータが渡ることを確認すると理解しやすくなります。

5. 「Run once」でテストする

設定したら、いきなりシナリオを常時稼働させず、Scenario Builderの「Run once」で1回だけ実行します。

テスト用の行やダミーデータを用意し、各モジュールの実行結果を確認します。公式ヘルプでは、モジュール上の実行結果から入出力や処理件数を確認できると案内されています。

特に次を確認します。

  • 同じデータが重複登録されないか
  • 空欄がある場合の挙動
  • 日付・金額・文字列の形式
  • 通知先や送信先が正しいか
  • 本番データを誤って更新していないか

6. 実行間隔を設定してからActivateする

テストが成功したら、Schedule settingsで実行頻度を決めます。無料プランでは定期実行の最短間隔は15分です。

必要以上に短い間隔へすると、確認対象がなくてもトリガーの実行でクレジットを消費する場合があります。通知が1時間ごとで十分な業務なら、最短設定にする必要はありません。

スケジュールを保存し、内容を確認してからシナリオをActivateします。テスト中だけ有効化した場合は、確認後に停止して不要な実行を防ぎます。

7. 実行履歴とクレジットを確認し、少しずつ広げる

本番運用を始めたら、最初の数日は実行履歴を確認します。失敗した実行、想定外の件数、クレジット消費を見て、必要なら実行間隔や検索・繰り返し処理を見直します。

問題なく動くことを確認してから、フィルター、ルーター、AI処理などを1つずつ追加します。最初から巨大なシナリオへせず、小さく完成させて広げる方が、エラー時の切り分けもしやすくなります。

無料プランのままで十分な人

次のような使い方なら、まず無料プランで試しやすいです。

  • 月に数十〜数百件程度の軽い処理
  • 15分間隔で問題ない
  • 常時稼働させるシナリオが2つ以内
  • 自動化が本当に役立つか検証したい

有料プランを検討する目安

次の状況になったら、料金だけでなく削減できる作業時間と比べて判断します。

  • 月1,000クレジットを安定して超える
  • 1分単位で実行したい
  • 3つ以上のシナリオを常時動かしたい
  • 実行ログを長く残したい
  • APIや高度な制御を使いたい

月額料金よりも、毎月何時間の転記・確認作業を減らせるかで考えると判断しやすくなります。

導入前に確認したい注意点

  • 外部サービスへ渡すデータの内容を確認する
  • APIキーや接続権限を必要以上に広げない
  • 顧客への送信処理はテストしてから有効にする
  • エラー時の通知先を決める
  • 退職・担当変更時に接続アカウントを引き継げるようにする
  • 料金やクレジット条件は定期的に確認する

まとめ

Makeは、複数のサービスを使うたびに発生する転記、通知、集計などを減らせる自動化ツールです。

最初に狙うべきなのは、派手なAI自動化ではありません。毎週繰り返していて、手順が決まっていて、失敗しても元に戻せる作業を1つ選ぶのがおすすめです。

小さなシナリオで効果とクレジット消費を確認し、役立つことが分かってから対象を広げると、無理なく仕事へ定着させられます。

参考にした公式情報

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