毎日同じ内容をコピーして別のサービスへ貼り付ける、問い合わせが来るたびに通知を送る、週末に数字を集計する。こうした手順が決まっている作業は、Makeで自動化できる可能性があります。
Makeはプログラムを書かずに使える一方、設定次第では複雑な処理も組めるツールです。ただし、最初から大きな業務を丸ごと自動化すると、エラーが起きたときに原因を追いにくくなります。
まずは「1つの入力を受け取って、1つの場所へ記録し、1つの通知を送る」くらいの小さな流れから始めるのがコツです。
Makeとは?
Makeは、Gmail、Googleスプレッドシート、Notionなどのアプリをつなぎ、データの受け渡しや処理を自動化するサービスです。
Makeでは、自動化の流れをシナリオと呼びます。シナリオの中に、次のような処理を並べて作ります。
- 新しい問い合わせを受け取る
- 内容をスプレッドシートへ追加する
- 条件に応じて担当を分ける
- Gmailで受付メールを送る
- 自分へ通知する
各処理は線でつながって表示されるため、コードだけで作る自動化よりも、データがどこからどこへ移動するのかを把握しやすいのが特徴です。
Makeの無料プランでできること
Makeの無料プランには利用期限がなく、月1,000クレジットまで利用できます。公式料金ページでは、3,000以上のアプリ、ルーターやフィルター、ノーコードのワークフロー作成機能が無料プランに含まれています。
| 項目 | 無料プランの主な範囲 |
|---|---|
| 月間クレジット | 1,000クレジット |
| 稼働中のシナリオ | 最大2つ |
| 定期実行の最短間隔 | 15分 |
| 1回のシナリオ実行時間 | 最大5分 |
| 実行ログの保存 | 7日間 |
| 連携アプリ | 3,000以上 |
無料プランでも、問い合わせ通知や日次集計のような軽い自動化は試せます。1分単位で動かしたい、複数のシナリオを常時稼働させたい、実行量が多い、といった場合は有料プランを検討します。
クレジットの考え方
Makeでは、シナリオ内のモジュールが処理を行うたびに、基本的にクレジットを消費します。
たとえば、1件の問い合わせに対して次の3処理を実行する場合を考えます。
- スプレッドシートへ1行追加する
- Gmailで返信する
- 自分へ通知する
単純化すると、1件あたり約3クレジットです。月100件なら約300クレジットが目安になります。ただし、検索、繰り返し処理、AI機能などを使うと消費量は増えるため、実行履歴で実際の使用量を確認します。
仕事で使いやすい自動化例7選
1. 問い合わせを記録して担当者へ通知する
Googleフォームなどから問い合わせが届いたら、内容を台帳へ記録し、Gmailやチャットへ通知します。
Googleフォームは標準機能でも回答をスプレッドシートへ保存できます。Makeを使う意味が出るのは、そこからさらに次の処理を加えたい場合です。
- 問い合わせ種別によって通知先を変える
- 緊急度の高い内容だけ件名へ印を付ける
- 自動返信メールを送る
- 顧客管理ツールにも登録する
単なる保存ではなく、保存後の作業まで自動化したい場合に向いています。
2. スプレッドシートからNotionへ案件を登録する
受付フォームや営業リストをスプレッドシートで管理し、新しい行が追加されたらNotionの案件データベースへ登録します。
入力窓口はGoogleフォーム、日々の進行管理はNotion、集計はスプレッドシートというように、役割を分けている場合に便利です。
ただし、同じ情報を双方向で同期すると管理が複雑になります。最初は「スプレッドシートからNotionへ送る」など、一方向だけにするとトラブルを減らせます。
3. 入金・申込データから確認メールを送る
決済サービスや申込フォームから新しいデータを受け取ったら、確認メールを送信し、管理表へ記録します。
金額や契約に関わる処理では、いきなり完全自動にせず、次のような段階を踏むほうが安全です。
- 最初は自分への通知だけにする
- テストデータで条件分岐を確認する
- 少数の実データで動作を見る
- 問題がなければ顧客向けメールを有効にする
誤送信の影響が大きい処理ほど、人の確認を途中に残します。
4. 毎日の数字を集めてレポートを作る
複数のサービスから売上、問い合わせ数、広告数値などを取得し、1つのスプレッドシートへ集約します。
毎朝決まった時間に実行すれば、各サービスへログインして数字を転記する作業を減らせます。
おすすめは、最初から立派なダッシュボードを作るのではなく、次の3列程度から始める方法です。
- 日付
- 指標名
- 数値
データが安定して集まることを確認してから、グラフや週次比較を追加します。
5. AIで文章の下書きを作り、確認待ちにする
問い合わせ内容、商品情報、記事のメモなどをAIサービスへ送り、返信文や投稿文の下書きを作成します。
ここで大切なのは、生成した文章をそのまま公開するのではなく、確認待ちの場所へ保存することです。
たとえば、次の流れにします。
- スプレッドシートへテーマを入力
- AIで下書きを生成
- Notionの「確認待ち」へ保存
- 人が確認して公開
AI APIの利用料金はMakeの料金とは別に発生する場合があります。また、顧客情報や機密情報を外部サービスへ送る前に、利用規約と社内ルールを確認してください。
6. 見積もり依頼を案件台帳へ自動登録する
Webフォームから届いた会社名、予算、希望納期などを案件台帳へ登録し、ステータスを「新規」に設定します。
入力漏れがある場合は登録せず、自分へ確認通知を送る条件分岐も作れます。
この自動化は、問い合わせ件数が少ない段階でも効果があります。件数そのものより、転記ミスや確認漏れを減らしやすい点がメリットです。
7. 記事公開後の告知タスクを作る
ブログやCMSで記事が公開されたら、SNS投稿案を作る、告知用のタスクを登録する、関係者へ通知するといった後工程を自動化します。
SNSへ直接自動投稿する場合は、各サービスのAPI仕様や利用ルールが変わることがあります。最初は投稿文を下書き保存し、人が確認してから投稿する半自動運用が安全です。
Makeを始める手順
1. 無料アカウントを作る
Makeへ登録し、最初のOrganizationを作成します。無料プランから始められます。
2. 自動化する作業を1つに絞る
「問い合わせを全部管理する」ではなく、次のように入力と出力を明確にします。
スプレッドシートに新しい行が追加されたら、自分のGmailへ通知する。
3. シナリオを作る
最初のアプリをトリガーとして選び、次のアプリへ処理をつなぎます。各サービスとの接続では、アクセス権限の内容を確認します。
4. テストデータで実行する
本番データを使う前に、テスト用のメールアドレスやダミーデータで動作確認します。
確認するポイントは次のとおりです。
- 同じデータが重複登録されないか
- 空欄があるときに止まるか
- 日付や金額の形式が崩れていないか
- エラー時に気づけるか
5. 実行回数とエラーを確認する
公開後も、最初の数日は実行履歴を確認します。想定以上にクレジットを使っている場合は、検索回数や繰り返し処理を見直します。
無料プランのままで十分な人
次のような使い方なら、まず無料プランで試しやすいです。
- 月に数十〜数百件程度の軽い処理
- 15分間隔で問題ない
- 常時稼働させるシナリオが2つ以内
- 自動化が本当に役立つか検証したい
有料プランを検討する目安
次の状況になったら、料金だけでなく削減できる作業時間と比べて判断します。
- 月1,000クレジットを安定して超える
- 1分単位で実行したい
- 3つ以上のシナリオを常時動かしたい
- 実行ログを長く残したい
- APIや高度な制御を使いたい
月額料金よりも、毎月何時間の転記・確認作業を減らせるかで考えると判断しやすくなります。
導入前に確認したい注意点
- 外部サービスへ渡すデータの内容を確認する
- APIキーや接続権限を必要以上に広げない
- 顧客への送信処理はテストしてから有効にする
- エラー時の通知先を決める
- 退職・担当変更時に接続アカウントを引き継げるようにする
- 料金やクレジット条件は定期的に確認する
まとめ
Makeは、複数のサービスを使うたびに発生する転記、通知、集計などを減らせる自動化ツールです。
最初に狙うべきなのは、派手なAI自動化ではありません。毎週繰り返していて、手順が決まっていて、失敗しても元に戻せる作業を1つ選ぶのがおすすめです。
小さなシナリオで効果とクレジット消費を確認し、役立つことが分かってから対象を広げると、無理なく仕事へ定着させられます。