AIでプレゼン資料を作れるサービスは増えていますが、スライドが早く作れることと、提案が通ることは別です。

提案書で重要なのは、相手が何に困っていて、どの選択肢を比較し、何を判断してほしいのかが伝わることです。

この記事では、AIを「見た目の自動生成」だけに使わず、ヒアリング → 論点整理 → 構成 → 根拠確認 → スライド初稿 → 人がレビューという仕事の流れに組み込みます。

情報の基準日:2026年8月14日
Canva公式では、Magic Design for Presentationsでプロンプトからプレゼンの初稿を生成し、内容・画像・ブランド要素を編集できると案内されています。最新仕様はCanva公式 AI Presentation Makerで確認してください。

先に結論:AIにスライドを作らせる前に「判断してほしいこと」を決める

最初に次の4点を書きます。

  • 誰に見せるか
  • 相手が今困っていること
  • この資料で提案すること
  • 最後に相手へ何を判断してほしいか

たとえば「Webサイト改善提案」なら、

問い合わせが少ない → 離脱ポイントを整理 → 改善案を3つ提示 → 今月どこまで着手するか決めてもらう

という流れです。

ここが曖昧なままAIへ「10枚の提案資料を作って」と頼むと、一般論が並びやすくなります。

ステップ1:ヒアリング情報を整理する

まず材料を集めます。

  • 相手の目的
  • 現状
  • 課題
  • 予算
  • 期限
  • 制約
  • 既存データ
  • 比較対象

機密情報や個人情報をAIへ入力してよいかは、契約・社内ルール・利用サービスのデータ方針を先に確認します。

ステップ2:AIへ論点を分解させる

いきなり文章を書かせず、次のように整理します。

以下のヒアリング内容を、
1. 現状
2. 課題
3. 原因として確認が必要な点
4. 提案候補
5. 相手に決めてもらうこと
に分けてください。
推測で不足情報を埋めず、「要確認」としてください。

「足りない情報」を出させるのがポイントです。

ステップ3:提案ストーリーを作る

提案書の基本形は次のようにできます。

  1. 結論
  2. 現状と課題
  3. 根拠
  4. 改善方針
  5. 具体案
  6. 進め方
  7. 費用・スケジュール
  8. 次のアクション

全部の提案書をこの形にする必要はありませんが、現状説明だけで終わらず、意思決定までつなげることが大切です。

ステップ4:1枚1メッセージへ分ける

AIには、各スライドを次の形式で出してもらいます。

各スライドについて、
- この1枚で伝える結論
- 見出し
- 本文3点以内
- 必要な図や表
- 根拠として確認すべきデータ
を出してください。

スライドに文章を詰め込む前に、役割を分けます。

ステップ5:数字と根拠は原典で確認する

AIが出した市場規模、改善率、料金、利用者数などをそのまま使いません。

確認先は、

  • 自社の計測データ
  • 顧客から受領した資料
  • 公式サイト
  • 公的統計
  • 契約書・見積書

などの一次情報です。

出典が確認できない数字は、削るか「仮説」と明示します。

ステップ6:スライド初稿を作る

構成が固まったら、CanvaなどのAIプレゼン機能で初稿を作れます。

Canva公式では、プロンプトからMagic Design for Presentationsでテンプレート候補と初稿を生成し、その後に内容や写真・グラフィックを編集する流れが案内されています。

ここでは「完成」と考えず、編集可能な初稿を早く作る工程として使います。

ステップ7:デザインを整える

確認するのは装飾より情報の優先順位です。

  • 重要な結論が最も目立つか
  • 見出しだけ読んでも流れが分かるか
  • 文字サイズが小さすぎないか
  • 色を使いすぎていないか
  • 表の比較軸が揃っているか
  • グラフの単位・期間が分かるか

Webデザインの考え方は配色・文字・余白を整える実践レシピにもつながります。

ステップ8:3種類のレビューをする

事実レビュー

数字、日付、料金、固有名詞、出典を確認します。

論理レビュー

「課題→根拠→提案」がつながっているか確認します。

読者レビュー

相手が初見で「何を決めればよいか」分かるか確認します。

AIへ最後に「反対意見を3つ挙げて」と頼むのも使えますが、最終判断は人が行います。

営業提案の例

悪い流れ

  • 会社紹介
  • サービス機能20個
  • AIが作った一般的なメリット
  • 料金

改善した流れ

  • 問い合わせ数が落ちているという結論
  • どのページで離脱しているか
  • 改善候補3つ
  • 優先順位と理由
  • 2週間で行う範囲
  • 費用
  • 次回打ち合わせで決めること

AIは後者の構造を作る補助に使います。

AIへ任せないほうがよい部分

  • 実在しない顧客事例の作成
  • 未確認の効果数値
  • 競合への断定的な評価
  • 契約条件や見積額の確定
  • 相手の意思決定を代行すること

よく使うテンプレート

この提案資料の目的は【目的】です。
相手は【対象】で、現在【課題】があります。
確認済みの事実は【事実】です。

8枚以内で、
結論→現状→根拠→提案→進め方→費用/条件→次のアクション
の順に構成案を作ってください。
不明な数字は作らず「要確認」としてください。
各スライドは1メッセージにしてください。

まとめ

AIで提案書を作るときは、見た目から始めないほうが安定します。

  1. 相手と意思決定を決める
  2. ヒアリング情報を整理する
  3. AIで論点を分解する
  4. 提案ストーリーを作る
  5. 数字・根拠を原典で確認する
  6. AIでスライド初稿を作る
  7. デザインを整える
  8. 事実・論理・読者の3方向から人がレビューする

AIを「提案を考える責任者」ではなく、整理と初稿を速くする制作アシスタントとして使うと、資料作成の時間を短縮しながら品質を管理しやすくなります。